烏鷺光一の「囲碁と歴史」

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

本因坊秀策囲碁記念館

Sany0080



 本因坊秀策の生家跡のすぐ近くに建つ本因坊秀策囲碁記念館。この記念館には秀策ゆかりの品々が保存、展示されている。平成二十三年に秀策母子愛用の碁盤など数点の展示品が市有形民俗文化財に指定されました。さらに、記念館の裏手には生家を復元している。



 現在、生家は石切神社となっており、秀策の碑が建っている。



 さらに十分ほど歩いたところに、秀策の墓がある地蔵院がある。





本因坊秀策囲碁記念館


          尾道市因島外浦町一二一‐一


          開館時間 午前十時~午後五時


          休館日  火曜日


 





 天保八年の暮、安田栄斎は上野車坂下の本因坊家道場に着いた。当主は本因坊丈和。


 丈和はこれより六年前、天保二年に名人碁所となり、四世本因坊道策が「碁聖」のちに「前聖」、丈和が「後聖」とよばれるほどの力量をもっていた。ただし、内弟子になったからといって直接師匠に打ってもらうことはない。



 栄斎も一般の内弟子と同じく道場の掃除や来客の接待を務めながら、棋譜を並べ、兄弟子たちとの研究手合に明け暮れていたことだろう。ある日、丈和が栄斎の碁に目を止めた。そして、「これは一五〇年来の碁豪である。我が門風はこれより大いに挙がるだろう」といったという。一五〇年来とは碁聖道策以来ということである。数え十一歳にして栄斎の碁はそれほど光るものをもっていた。



 秀策の初段免状を紹介しておく。



 囲碁幼年たりといえども執心所作よろしく、手談も感心いたし候。これによって自今上手に対し三棊子の手合初段を免許しおわんぬ。なおもって勉励肝要たるべきものなり。よって免状くだんのごとし。



 天保十年巳亥十一月廿九日



       官賜碁所 本因坊丈和



 安田栄斎老



 「老」は目下の者に対する軽い敬称である。



 免状の日付に注目したい。丈和はこの年の十一月晦日、免状発行の翌日に碁所を退隠させられるのである。当時の慣例として内弟子に免状を発行することはなかったが、丈和としては本因坊家の未来を託す栄斎に碁所として最後の免状を与えておきたかったのだろうと推測されている。



 丈和が退隠し、十三世本因坊は丈策が継ぐことになった。したがって栄斎は丈策の弟子に変わる。





 天保十一年、栄斎は出府以来二年半ぶりに帰国した。帰国の時期は初夏ではないかと思われる。東海道を通って山陽道へ。付き添いはだれだったか。往路の打碁は発見できていないし、道中の記録もない。


 帰国した栄斎は直ちに浅野忠敬に謁見し、江戸の生活を報告したのだろう。栄斎が頭角をあらわし「安芸小僧」と呼ばれていることなどはすでに故国に届いている。忠敬は五人扶持を与え、広島藩の藩学教授坂井虎山について漢学を学ぶことを命じた。


 一年半後、栄斎はふたたび出府した。復路には大阪の中川順節との打碁がある。中川は井上門の五段で当時三十代の後半。この少し前に大阪に移住し、後進の育成にあたることになったらしい。栄斎と中川はこのとき四局打って、栄斎(二子)の全勝だった。後日、中川は向先でも勝てなかったろうと語ったそうだ。その譜を入手した京都在住の河北耕之助(坊門五段)は、これが十三歳の碁かと感嘆し、碁を愛したと伝えられる仁孝天皇に献上したというのである。


 秀策の甥にあたる桑原寅次郎がまとめ、現在でも基本資料とされている『本因坊秀策小伝』によれば、外之浦に帰着した秀策はまず桑原の本家浜本家にあいさつを済ませ、その後に帰宅するのが常だったという。さらに間を置かず、後援者の橋本竹下父子へのあいさつ、浅野忠敬への伺侯と続けた。こうした礼儀正しさは生涯変わることがなかった。


 栄斎が一年半も在郷したのはなぜか。浅野忠敬ははじめは栄斎を公儀直轄の碁方として育成しようとしたのではなく、あくまでも浅野家の人材として育てようとしたことである。一年余も経て再度出府させたのは、大切な修行期を郷土で無駄に消費させてはならぬという判断に過ぎなかったと推測される。

スポンサーサイト

| 本因坊家 | 09:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://igoshi.blog.fc2.com/tb.php/866-275e529c

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。